2015年3月1日日曜日

たった1石(MOS-FET)ヘッドホンバッファアンプの検証

前回作った「たった1石(MOS-FET)ヘッドホンバッファアンプ」を、負荷の有無でどのくらいの違いがあるのか実機を使いRMAAで検証してみた。
負荷は、負荷無しはUSBオーディオ(UCA222)の入力インピーダンスの27kΩ、負荷有りは33Ωのカーボン抵抗とする(普段使いのヘッドホンを想定)。
※負荷無しとは、出力をオープンにすることではなく、負荷が軽い(入力インピーダンスが27kΩで、ほとんど電流を必要としない)ということである。


サマリー

左から測定に使ったUCA222のループバック、負荷無し、負荷有りの結果である。やはり33Ωの負荷だと歪率、IMD特性(混変調歪み)、クロストーク値の低下が顕著に現れている。しかし、UCA222の悪い下駄を履かせた状態であるので、少し大目に見て欲しい。


周波数特性

負荷有りだとほんの少し低域が下がるが、ほとんど劣化していない。高域のクネクネはUCA222のクセなので気にしないで欲しい。そして、RMAAは20kHzまでしか測定できないため、20kHzでぶった切られる。


ノイズレベル

ノイズレベルはほとんど劣化せず。最大1.3dBの差しか無い。
概ね-120dB付近と低い値である。


ダイナミックレンジ

ダイナミックレンジもあまり劣化してない。たった1石のMOS-FETで利得無しで88.9dBは立派ではないだろうか。
微妙に周波数がずれているのが気になるが。


全高調波歪

負荷有りは、特に高域の歪みが悪化している。
しかし、負荷の有無で約0.05%の違いでしかない。そして約0.1%の歪みは聴感上で分かる人はいないのではないか。さらにこの歪みが良い味を出すことも考えられる。
微妙に周波数がずれているのが気になるが。。。


IMD特性(混変調歪み)

よく分からないが、全高調波歪と数値的にあまり変わらないから、色んな音が混ざってもそれほど特性が劣化しない…とポジティブにとらえよう。
微妙に周波数がずれているのが気になるが。。。。なんでだ!?


クロストーク

さすがに負荷が33Ωだとクロストークが劣化する。一番劣化が激しい項目である。元々低域は指向性が無いから問題視してないが、高域でも-66dBは確保してるからまぁまぁではなかろうか。たぶん、-66dBで音が漏れても糞耳なJJには聞こえない。

このアンプは0dBアンプである。つまり利得が無いのだ。
そのため、測定時はフルパワー状態で稼働している(そうしないとRMAAが測定モードに入らない)。
したがって、通常のリスニングでは、もっと特性が良い状態で聴いていることになる。これらの測定結果は参考値と考えて欲しい。

実聴するとこんな数値がバカらしく感じる。


最後に、このアンプは発熱が多いため、ケースの蓋に穴を空けて放熱対策を施した。この状態で、プリアンプの出力ボリュームを最大、このアンプのボリュームを最大(つまりフルパワー)で数時間稼働後、MOS FETの温度が90度、コンデンサ付近の温度が63度であった。
データシートの許容範囲に余裕で収まる温度と分かり、これで連続稼働も安心である。
もし、自分でも作ってみたい…と思った人は、放熱対策を十分して欲しい。


あまり綺麗な穴ではない。。。

ドリルの切れ味が劣化していた(笑)


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9 件のコメント:

  1. こんにちは
    負荷が重くてもそこそこなのですね!!
    この記事を元に、8ΩSPを鳴らすべくアンプを作ってみました
    つまらない位クセ無く えらく普通に鳴ります
    ノイズが無いのが、いい点 
    音響機器修理に活躍しそうです
    記事中にリンク張らさせて頂きました。

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    1. おじさん、コメントとリンクをありがとうございます。
      とうとう1石でスピーカーまで逝きましたか。。。
      音量はどのくらい取れるのでしょうか?

      JJは、電源電圧12Vで歪率が0.01%を切る(0.009617%)MOS-FETを見つけた(33Ω負荷で2Vpp出力)ので、ちょっとこの素子でヘッドホンアンプを試作している最中です。

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    2. こんばんわ
      ケンウッドCDは1.4vPEEK出力型なのでVRを少し絞る程度です
      1.0vPEEK型ではVR全開って処でしょうね たぶん

      MOS-FETの差も興味沸きます
      衛星通信送信出力用なんて いいかも 超高価かも
      楽しみにしていま〜す。

      削除
  2. IGBTヘッドホンアンプを作ってまました
    今までで最高の 好みの音です
    自力歪率測定方法を学ばねば!!

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    1. おじさん、いつもコメントありがとうございます。
      おじさんの定電流型のアンプを検証してみましたが、これは良いですね。
      単なる抵抗型と違って、圧倒的に省電力で、特性もそんなに落ちないです。
      次は定電流型のヘッドホンアンプを作る予定でいます。

      あと、秋月にルネサスのシリコンNチャネルIGBTが300円で売ってますよ!
      http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-07237/
      これはVgeが高いなぁ。。。IGBTってVgeが高いんですね。

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    2. 検証ありがとうございます
      各機聞き比べ5分もすると、どれも同じように聞こえてきます 私にはこれで十分です 直感ではIGBTが聴き疲れなくて好みです。

      プロのPAさんが遊びに来て SPアンプとIGBTアンプを持っていっちゃいました-果たして何と言うか?
      秋月IGBTの8Vgeですと電源15v以上必要ですねコピー制作される方向けには秋月等の部品使用が親切ですが、長年のジャンクが部屋いっぱい溢れていますので それで まかなっていますです。

      削除
    3. おじさん、こんばんは。
      1石(MOS-FET)の定電流版でヘッドホンアンプを作りました。
      これはとてもダイナミックでキレのある音を出してくれますね。
      JJもおよそ半分はジャンク(過去の遺物など)を漁って作ってます。
      トランジスタや抵抗はいっぱい在庫を抱えてます(笑)
      ユニバーサル基板専門なので、基板だけは買っちゃいますが。

      秋月のIGBTはどうでしょうね。
      今のところMOS-FETで満足してるので、まだ先になりそうです。

      プロの評価は気になりますね。自分が作ったものを客観的に評価できる人が身近にいるといいなぁ。

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  3. ポップ防止について
    うちのポップが少ないのは きっと 電源が逆流防止と電流制限 大容量Cが機能していると思慮

    電源とバイアス100k間にフォトカプラ挿入して徐々にon
    電源ON時 FET-ソフトスタート 電源OFF時 FET-即offかソフトoff
    300kとグランド間に挿入してバイアスを電源電圧にUPするとか

    電源に電流制限をゆっくり掛けるとか2SJ定電流回路の応用です

    18v三端子RegIC-抵抗-15v三端子Reg直列にするとすると自動的に任意電流制限が係って便利です-おじさんのはいつも反省エネ思考です

    うちのメイン機はフォンコネクタの挿入スイッチで電源制御式

    常にフォロワー回路は、自己発振に要注意

    ぱっとの思いつきですのです。とりあえず

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  4. 連投 申し訳ありません 
    Linuxの方向けに 一言 入れさせて下さいませ。
    ここのブロバイダーさんは
    投稿時に認証文字が隠れて投稿できない LinuxOSが 多くあります
    ライブCDのWindOS(うぃんどぇ〜す) というLinuxですと快適に書き込みができますです。

    返信削除

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