2015年11月24日火曜日

前々記事のヘッドホンアンプの特性を測定してみる(その2)

前々記事で作ったヘッドホンアンプ(以下HPA)の終段アイドル電流を30mAから60mAへ増やしてみた。

比較表

クロストーク値以外は、特性が向上か横ばいとなった。
frequency responseが一桁良くなっているのは、終段のMOS-FETが線形動作領域で動いているということか。
また、50Hz付近で特性が悪かったため、
 
・電源トランス-電源回路(整流+平滑化+定電圧化)
・電源回路-HPA回路

間の配線を最短にしたところ、


50Hzのノイズが減少

50Hzのノイズが-100dBを超えなくなった。
こうやって検証して改善した部分が、実際の測定結果として現れるのはとても嬉しい。

アイドル電流を60mAとしたところ、終段MOS-FETの温度が(放熱器付きで)50度に満たないぐらいだった。まったく問題無い範囲だろう。
ちなみに、30mAの時は40度前半だった。

これ以上流しても、そう劇的な変化は見られないため、アイドル電流は60mAでFIXとした。


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2015年11月17日火曜日

前記事のヘッドホンアンプの特性を測定してみる(★★★★★お勧め)

前記事で作ったヘッドホンアンプ(以下HPA)の特性をRMAAを使って測定してみた。

先ずはSummary

これだけ見ると平凡な特性である。
しかし、この特性を測定するためには、PCとHPAの間にUSBオーディオデバイス(ベリンガー)があるのだが、このデバイスの性能が良くないのだ。
並べて比較してみよう。

ベリンガーとの比較

この左列のベリンガーの数値は、自分自身をループバックして測定したものである。したがって、理論上この数値が表現上の上限となってしまう。
この表を見て分かる通り、frequency response(周波数応答?)以外は、誤差範囲と言って良いほど数値に変化が無い。つまり、ベリンガーのせいで本当の特性が隠されているのだ。
ノイズレベルの比較グラフを見てみよう。

ノイズレベル比較

白がベリンガー、緑が前記事のHPAである。
緑から白を除算してみると、ほとんどノイズが残らないであろう。
50Hzにあるノイズは、HPAがトランスから電源を取っているための、AC100Vラインからのノイズである(JJは関東圏住まいなので)。それでも-100dBを少し超えるくらいだから、聴感上は全く問題にならない値である。
おそらく生の特性では、ノイズレベルは-100dBを下回り、ダイナミックレンジは100dBを上回っているのではないか。

この傾向は歪率も同じである。終段にMOS-FETを使っているが、アイドル電流は30mA(現在は60mA)程度である。MOS-FETの線形領域に達してないはず※であるが、そこはオペアンプのNFBに任せて、歪みはバッサリ補正してくれる。
本当の歪率は、上記の比較表で単純に引き算した値、0.050-0.045=0.005に近いのではないだろうか。
※もしかすると達しているかもしれないが、MOS-FETのデータシートのグラフのオーダーが大きすぎて、立ち上がりから線形領域までの電流が読み取れない(笑)

また、このHPAは入力Cに、0.22uFのフィルムコンデンサを並列に5つ入れてある。最初は異種コンデンサ(電解コン+フィルムコン等)の組み合わせを考えたが、組み合わせのチューニングが面倒なのと、もしかするとクロスオーバー歪みが出るかもしれないため、まったく同じ特性のフィルムコンデンサを並列にする試みをしたのである。


入力C(笑)
いくつかの抵抗は立体配線だ(笑)

この試みは大成功と言える。
特性は良いが、低容量なため安価な、どこでも売ってる積層フィルムコンデンサを使えるメリットがある。そして並列接続なため、応答速度に寄与している可能性もある。

とにかく、左右の分離と音の分離が良く、ノイズと歪みも皆無な、ダイナミックレンジと音場の広がりが良い、とても良いHAPに仕上がった。


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2015年11月9日月曜日

非コンプリメンタリなMOS-FETでヘッドホンアンプを作る(★★★★★お勧め)

コンプリメンタリなMOS-FETの入手が困難になってきている。
若松なんかでコンプリを売りにしたMOS-FETのペアなんて、1ペアで千数百円以上はする。。。辛うじてチップだといくつかあるが、実装が面倒だし、あまり電流を流せなくてミスるとすぐ燃えるw

ということで、非コンプリメンタリなMOS-FETのペアを終段として、ヘッドホンアンプを作ってみた。要するに、同じような特性のNchとPchの安価なMOS-FETを見つければ出来たも同然だ!


非コンプリ終段

電力増幅段に、2SK2232と2SJ334を使ったプッシュプル回路だ。
この2SK2232と2SJ334、コンプリメンタリと言って良いぐらい同じような特性だ。
それに秋月に置いてあって、1個100~150円と安価である。
アイドルは、30mA(現在は60mA)ほど流れるように10kBの可変抵抗を設定してある。


実装後

オペアンプ以外は全て一般品。一部、手持ちで同一種で抵抗値が揃わず、無駄に金属被膜抵抗を使っているw
この中で一番高価なのは、3.3pのマイカコンだろう。

その音は、久々のホームラン級である。神レベル(当人比)
このオペアンプの音は好きだ。

入力Cと終段FETのおかげで、恐ろしくクロストーク性能が良い。
左右の分離と音の分離が良く、解像度が高くダイナミックレンジが広いヘッドホンアンプとなった。


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